直近2年くらいは事業開発について学びながら、いろんな失敗をして、日々学びを得ています。今回は、今まで学んだことの整理もかねて、事業を伸ばす上で外してはいけないポイントについて自戒を込めて整理していきます。
まず、そもそも事業とはなんなのかについて定義します。
事業というものは下図のように一般化できると考えています。
つまるところ事業というのは、4つの活動によって、成り立っています。
①新しい価値を産む
②価値を伝える
③価値を広める
④価値をお金に変える
①〜④のサイクルが回っている状態が、事業が成長しているということであり、様々な不確実性を超えながら、この状態をつくることが事業開発を任せられる身としては最も重要なことです。
なお、重要なのは、ここでいう”価値”の主語は常に顧客ということです。自社にとっての価値は本質的には後回しでなければならず、事業開発者としては、まずはじめに顧客、ユーザーにとっての価値が何かという事を考えることが求められます。
”価値”というものは、顧客にイシュー(課題)があり、その課題を自社のプロダクトあるいはサービスによって、解決することによって成立します。
つまり、顧客の課題を特定して、適切な解決策を作るというのが、”新しい価値を産む”段階では求められます。
・顧客自身が課題を把握している場合は少ない。観察を繰り返すことが重要。
・価値の大きさは課題の大きさに依存する。課題の大きさは強度と頻度で評価できる。
・価値が産まれているかを定量的に検証する術は、基本リテンション(継続率)。
・ただ、何をもって継続とするかの判断はサービスによって異なる。
価値を伝えるとは、言い換えると、価値を正しく理解してもらい使ってもらう事。
新しい価値を産むことができたとしても、使ってもらうようにするフォローが必要です。
例えば、とあるアプリで、有効な新機能を産んだとして、それを使ってもらうようにするには、ユーザーがよくみる場所に配置を変えたり(UIの変更)、CRMで認知させたり、カスタマーサポートによって使い方を説明したりなどが考えられる。
また、このフェーズがうまくいっているかの定量的な評価は行動ファネルの通過率によって行えます。
価値を広めるとは、広義の意味では、マーケティングであり、狭義の意味では、プロモーションです。
つまるところ、認知最大化と新規顧客の獲得です。
認知最大化と新規顧客の獲得はとても重要ですが、価値が検証されていない状態(継続利用するユーザーが増えていない状態)で、全力投下してしまうのはお愚かな行為です。これは、ここ20年くらいのスタートアップの歴史によって証明されてきた定説です。
最後、こちらはいうまでもなく、マネタイズです。
顧客にとって価値があってもそれがお金を払うまでのものかは別です。経済合理性が得られないということは、プロダクトやサービスを継続的に運営できることはできなくなります。そのため、お金を払うまでの価値があるかというのは事業存続の上では、かならず検証しなければなりません。
また、マネタイズを焦ったばっかり、顧客が離れていくというのはよくあることです。
実際の現場では、株主や経営からの圧力によって、短期的な売上に対する意識が強くなる傾向があります。こうなるとバランスが崩れるので、事業開発をする上では、ユーザー価値とのバランスも取らなければなりません。
こういった状態に陥る根本の原因は、ほとんどの場合①〜③のいずれかがうまくワークしていないことが考えられるので、調整するべき箇所を探ります。