何か、新しいことに挑戦したり、目標にむかってがんばっている時。
ある地点で、必ず行き詰ります。
そういった時、自力で問題設定、解決策を見出して前進できるAさんと、「どうすればいいかわからない。」とその場に留まってしまうBさんがいます。
Aさんと、Bさんの差は、なんなのでしょうか?
今回は、問題解決力を高める、”問題分解のマトリックス”について紹介していきます。
”どうすればいいかわからない”状態にある人を観察していると、問題の分解がうまくできていないことが原因の7割を締めているように思えます。
彼ら彼女らは、問題を洗い出して、整理するのが苦手なのです。
整理が苦手なのは、整理するための型(フレームワーク)が備わっていない場合が多く、まずは型を仕入れて、それを実際に使っていくことが重要です。
今回紹介する、”問題分解のマトリックス”は、問題を整理するための一つの型(フレームワーク)です。
自分がいま何で行き詰まっているか?現在地をシンプルに把握するのに使います。
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何かに行き詰まったときは、次のうち片方、または両方が欠如している場合がほとんどだと思います。
・ゴールが見えていないor見失っている。(Whyの欠如)
・ゴールは見えているが、そこにたどり着くまでのステップが見えていないor現実的でない(Howの欠如)
これを4象限のマトリックスで表現したものが問題分解のマトリックスです。
このマトリックスとあなたの状況を照らし合わせるとあなたは今どこに位置していいるでしょうか?
各象限について、詳しくみていきましょう。
ゴールが見えているが、その道筋が不明瞭または現実的でない場合は、第1象限”ビジョン先行の夢想家”にあたります。
何か、大きなビジョンを描いたり、それを語ることはできているので、そのビジョン共感した人はついて来てくれているかもしれません。しかし、実行力が伴っていないので、結果が出づらいという状態です。この状態を放置すると、やがて人は離れていきます。
夢を語れるのはすごい能力ですが、夢を語ることしかできなかった場合は、関係者は、緩やかに不幸になっていく場合が多いです。
やることは決まっていても、なぜそれをやるのかといった目的(Why)が不明瞭だった場合は第4象限”実行力のある迷子”にあたります。
目的がないまま実行がなされるなんてことが起こり得るのか?と思ったかもしれませんが、あります。むしろけっこう多いです。
目的が不明瞭のため、行動の結果、状況がよくなっているかわるくなっているか判断つきません。とりあえず淡々とやっている状態が続きます。
こういう人のみで組織が構成されると、イノベーションが生まれず長期で確実に苦しくなります。固定化された業務など、決まったルールで決まった行動をする、オペレーター的な人や組織に起こりがちな状態です。
ゴールも見えておらず、何をしたらいいかもまったく検討がつかないという場合は、第3象限”運ゲームプレイヤーにあたります。
この状態にあることを認識できたら、一刻も早く抜け出せるように努力したほうがいいです。
目的も曖昧で、やることの道筋も不明瞭ということなので、もはやそれは運にすべてを任しているのとほとんど同じです。
もちろん運なので、行動量を上げた結果、なんかわからないけどうまくいったということもあります。
運も重要な要素なので、運に恵まれるということは、素晴らしいことなのですが、ほとんどの場合、それは再現性がつくれないです。不確実性を理解しながら、いかにそれを確実なものに近づけていくかというのがビジネスの醍醐味の一つなので、ビジネスで実力をつけるという意味では、一番よくない状況です。
ゴールも明確。それに至る道筋も明確でかつ現実性があるという場合は、第2象限”ビジョナリーで実現力のある戦略家”にあたります。
これが最も理想的な状態です。この状態になっているというのであれば、行き詰まっているということは感じないでしょう。
もし、今何かに行き詰まっているという状態とであれば、おそらくこのマトリックでいう、第1象限、第3象限、第4象限のどこかにいるのではないでしょうか?
つまり、”どうすればいいかわからない”という状態は、目的(Why)がよくわからないか、道筋(How)がよくわからないか、はたまたその両方がわからないかという状態です。
なので、どうすればいいかわからないという状態に陥った時は、まず、自分がこのマトリックス上のどこにいるのかを認識することがなによりも重要です。
その上で、目的(Why)と道筋(How)の差分を埋めて、第2象限”ビジョナリーで実現力のある戦略家”の状態まで移動できるようにすれば良いのです。
何かで行き詰まっている人を観察していると、目的(Why)と道筋(How)のそれぞれが現時点でどの程度見えているのかを全く把握しようとせず、尚且つそれを埋めようともしないということが多いように思います。この状態が一般社会でよく言われる、”思考停止”状態の正体かと思います。
ちなみに、このマトリックスは点の話で、時間軸の概念が入っていません。そのため、ある時点(瞬間や期間)での評価にしか使えないということに注意してください。
なぜなら、ある時点で明確化した、目的(Why)や道筋(How)は、時間経過による状況変化で、大なり小なり変更または精錬されるのが普通で、長期にわたって、理想的な状態である、マトリックス第2象限に居座り続けるというのは困難だからです。
つまりは、時間経過に伴って、ある地点で、目的(Why)や道筋(How)がブレて、また軌道修正するという周期が必ず起こります。(下図)
そこでより重要になるのは、目的(Why)や道筋(How)がずれていないか、定期的に観測し、状況に応じて、早く変更できる柔軟さだと思います。
自己解決能力が高い人というのは、目的(Why)や道筋(How)を見失いそうになった時に、いち早く軌道修正のための行動を起こせる人だと考えています。