事業成長と組織の成長は表裏一体。組織が進化し続けないと、事業は中長期で必ず行き詰まります。そのため、採用や育成体制を整備して、自分の組織内で”活躍できる人材”を増やすことが重要です。
では、自分の組織で”活躍できる”人材(理想の人材)とはどういう人なのでしょうか?
改めて言語化しようと思うと意外と難しいことに気づきます。
実際、この辺りをフィーリングで進めているという組織も多く、そうした組織では、採用のミスマッチが起こり、中期で組織が弱くなりがちです。
そこで、今回は、採用のミスマッチを防ぐために、自分の組織で”活躍できる”人材の定義方法について考察してみます。
自分の組織にあった”活躍できる人材”であるか否か?は、大きく3つの軸で評価基準を設けると判定しやすいと考えています。
【活躍する人材の評価軸3つ】
・”価値観(カルチャー)”のフィット
・”ビジネス基礎素養”のフィット
・”業務スキル”のフィット
これら3つの軸で、詳細評価したときに、3つの軸すべてで合格ラインを満たしている人材というのが、”活躍できる人材”という考え方です。
価値観(カルチャー)とは、企業として、重視している理念や、ミッション、行動規範(バリュー)といった企業文化のことを指します。
採用候補者目線で言い換えると、これまでの人生で培ってきた根底にある考え方です。人それぞれ信じているものは異なるもので、正しい、間違っているはありません。また、年齢を積んでから変えるのは難しいのが特徴です。
価値観のフィットがうまくできていないと、この組織に居続ける理由がなくなります。外でも活躍できる人材であればあるほど、すぐにやめてしまいます。
だからこそ、企業としての価値観を、候補者に正しく伝えて、心の底から考えに共感できるか?居心地がいい場所と思っているか?を見極めることが重要になります。
地頭の良さや、柔軟さを指します。例えば、論理的な思考力や、やり抜く力、コミュニケーション力などがあげられます。
ビジネス基礎素養が乏しい場合は、教えたことへの理解力が弱かったり、自己学習する癖がなかったり、チームで仕事をうまく進めることができなかったりと、なかなか、自走して仕事をこなし、成果を出せるようになりません。
今までの人生経験によって人それぞれ差はありますが、価値観と違って、訓練によって変えうるものです。特に、社会人になりたての新卒の候補者などは、しっかり育成体制が整っていれば、伸びしろがあります。
ただ、価値観と一緒で、年齢を重ねれば重ねるほど訓練しても効果がないことも多いので、中途採用では、よりシビアに見極める必要があります。
具体的な業務遂行で求められる技能要件とその経験値を指します。
デジタルマーケティング職を例に考えてみると、SEO、SNS、CRM、広告運用、マーケティング戦略の立案の経験などがあります。
デジタルマーケティング職一つにしても、事業規模や状況、期待する役割によって必要な業務スキルは変動するので、ポジションごとに、より丁寧に言語化してあげる必要があります。
エンジニア、デザイナー、マーケターなど、専門性の高いポジションの採用であればあるほど、実際の現場のメンバーを定義から実際の採用面接まで巻き込むことが重要です。現場のメンバーを巻き込まず、人事だけで採用を進めて、入社後に、まったく使えなかったということは起こりがちです。
これら、3つの軸を踏まえて、それぞれで理想の状態を具体化します。
そして、3つそれぞれで、何%くらい満たしているかを評価してみてください。総合マッチ度という形で、候補者をランク付していき、ノウハウとしてためていくと、採用ミスマッチは次第になくなっていくはずです。
前編はここまで。後編では、このフレームワークをふかぼって、よくある採用のミスマッチのパターンと組織のレベル診断方法について解説してみます。
後編はこちら。